• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★ネガポジの東京「池田衆 sight」

池田衆「scrap and build」

A/D GALLERY(六本木)の「池田衆 sight」【2018.03.17 – 04.08】を見てきました。

六本木ヒルズ3階の森美術館出口にある3階のショップ脇に併設されたギャラリーです。

池田衆「scrap and build」(部分)

写真を切って全く新しい光景を作り出すシリーズが代表作です。面白いのが切った写真がパズルのピースのごとくそのまま下に落ちていることです。

池田さんは2017年O美術館の首都高展などで展示がありましたが、今回は個展ということで、最新作と過去の代表作がある程度まとめて見ることができました。上記の切り絵作品以外にもいろんな表現が見れます。

池田衆「claer the air」

夜空を切り取って飛行機の軌跡を表現してます。人工的な光で浮かび上がる都市の夜景に最小限の手を加えてさらに幻想的な光景を作り出しています。

池田衆「luminous」

これも夜の都市のネガとポジを強調した作品です。建築のお知らせ看板が立つ手前の公園は他の写真から切り取ったイメージを貼り付けており、新しい表現の模索が見られます。

池田衆「one river」

今回最大の作品(1650×950mm)です。左の原爆ドームから池田さんの出身地である広島の太田川であることが分かります。写真をマス目上に切って、それを一部並べ替えてあります。

池田衆「respective views」

これは比較的古い2015年の作品。この頃は切り絵的表現が強かったですが、近年は写真そのものの素材を生かした作品が多いように感じます。

池田衆「midnight hope」

これも2015年の作品。夜景の写真から明るい部分を全て切り落としてしまったインパクトの強い作品。まさに「暗闇を望む」。競技場のパーツがゴロッと下に落ちているのが面白いです。

池田衆「pixel city」

やはり写真をマス目状に切って、各パーツを天地逆にして並べ替えています。形の崩れないごみ処理場の煙突と、ガタガタした首都高の対比が面白いです。

 

短い期間に色んな実験的な表現を試みているのが分かり、面白いです。★★★

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