青山クリスタルビルの会田誠展「GROUND NO PLAN」【2018年2月10日(土)~24日(土)】を見てきました。
大林組が「都市のビジョン」をテーマに2年に1人、アーティストを選んで個展開催を支援するという事業。大変意義ある事業ですが、その第一回が会田誠と聞いては「???」となります。
確かに会田さんは過去作に今回も出品された「新宿御苑を山あり谷ありの日本列島の縮図のような庭園にする」という遊びにしては非常に力の入った作品を出していますが、それ以外に都市や建物に関する真面目な作品があった印象はありません。むしろ一貫性のない振れ幅の大きさこそ会田さんの魅力だと考えていたので、どうなることかと思いましたが・・・
いらぬ心配でした。会場入って始めに出迎えるのはブルンブルン揺れるオベリスク。よかったいつもの会田さんだ(笑)
前述の御苑もジオラマが追加され具体性を帯びてきました。
滝や急流と緩やかな2本の川や、それを実現するための大きくせり上がった大地、徹底的に閉鎖的な垂直な壁、これぞ新宿というべき怪しげなネオンサインなどが盛り込まれています。
他に大型作品としては国際都市の象徴として国会議事堂の上に作られた「NEO出島」や・・・
アクアラインの換気施設「風の塔」を改造する提案、
会田さんが案を出し、盟友の山口さんが細部を詰めた新都庁案、
大量に投下された日本列島改造案の看板などです。この辺りは地方、中央政府の為政者に見てもらいたいですね。中央官庁分散とか特に。
中でも最大のものは吹き抜け空間を活用したインスタレーション作品です。
その足元には「快適なスラムを作ろう」というメッセージが土嚢袋に描かれています。
特に面白いと思ったのは「日本の建築家は何もするな」という提案です。
会田さんは日本の名建築としてドンキホーテ、SHIBUYA109、アサヒスーパードライホールなどをあげています。日本では一般人と玄人建築家の美意識は大きく乖離しています。あくまで機能を追求した都市計画を肯定するというのは今日必要に感じます。
ところで新作とともに旧作でも会田さんは都市や東京に関する作品を多く作っていることが今回分かりました。こちらは会田さんらしい発想ですね。
芸術公民館は歌舞伎町に2年間だけあったBAR(に見えるたべり場)です。
会田さんは海外生活にもなじめず、ダサくてゴミゴミした東京とは腐れ縁とも言うべき間柄です。だからこそ東京の現状を受け入れつつ改造を繰り返すという現実的な提案ができるのかもしれません。今回の展覧会は都市改造のアイデア集に過ぎませんが、主催が大林組である以上、ちょっとは期待してもいいのでしょうか?
会田誠展「GROUND NO PLAN」
会期 | 2018年2月10日(土)~24日(土) |
---|---|
時間 | 10:30~18:30(金曜日は19:30まで)※入場は閉館の30分前 |
入場料 | 無料 |
会場 | 〒107-0061 東京都港区北青山3-5-12 青山クリスタルビルB1F/B2F |
★都市と遊ぶアート「都市は人なり」 – 博司のナンコレ美術体験2018年3月2日 11:06 PM /
[…] また都市についての言及も興味深いです。本書は会田誠さんが「都市」をテーマにした展覧会でも言及しているように、優れた都市論としても読めます。良展覧会ではビルバーガーやスーパーラットだけでなく、本物のネズミやビルの廃材を地下に展示するなど都市の歴史を視覚的に展示されています。 […]