別冊太陽「パブリックアートの世界」を読みました。
立川市の「ファーレ立川」竣工時に出版された本で、ファーレの他に世界各地のパブリックアートの情報も書いています。
ファーレについては劇「2100年のファーレ」のところでも書きました。
帰港者の論文は藤森照信氏と中川佑介氏の寄稿が面白いです。藤森氏町中に設置されたパブリックアートは通行人によって魅力が引き出されるとしています。
特に面白いのが巻末の誌上アートツアー。ファーレのアートプランナーの北川フラム氏自身がファーレの全109作品を案内しています。
その中で様々な作品の裏話が披露されています。例えばクレス・オルデンバーグの作品が過去のマリリン・モンロー追悼企画で制作されたものを改造して設置されたものであること。
ドナルド・ジャッドの作品が死後制作された遺作であり、彼の意志を尊重するため壁ごと新作されたこと。
山口氏の作品は本来ファーレ立川の案内板を設置する位置に置かれたものだということ。この作品はファーレの現在と過去の地図、ファーレで採取された植物の押し花という三層構造になっており、ファーレの歴史を感じさせるものになっています。
野外作品だけあって設置に関する苦労も色々描かれています。ただ置かれているように見えますが、建築法などの制限を色々受けています。この作品はある一点から見ると円に見えるというものですが、道路交通法上ドライバーの気が散るということでなかなか許可が下りなかったようです。
コーススの作品は1週間ぐらいかけて石工が現地で彫ったそうです。角にも文字が刻まれていることがポイントです。
ファーレの大きな業績の一つとしてアフリカなど日本で国自体がほぼ知られていない国の作家を招聘していることです。こちらの作品はハイチの作家です。ハイチと言えば世界最貧国のひとつです。作品の搬入自体が戒厳令で大変だったようです。
ファーレの作品を見るうえで知っておきたい情報がたくさん詰まっています。出かける前後に一読をお勧めします。★★
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