今回は群馬県立近代美術館に注目してみたいと思います。
設計者は磯崎新氏。同じ群馬県でハラ・ミュージアムアークなども設計しており、出身地の大分や同じ九州の福岡を除くと、磯崎建築が集中している地でもあります。
磯崎氏は自分の建築の版画を多く作っていますが、それらは実際の建物とは大分違うことも多いです。この版画は美術館が12mの立方体の集まりでできていることを示しているのですが・・・
実際中に入って見ると立方体を感じることはあまりありません。
確かに窓の格子やパネル、タイルの一枚一枚についてまで正方形になっているのですが、言われてみれば・・・ぐらいの感覚です。実際に立方体の単位で空間が使用されているわけではないことが原因だと思います。
そんな中で空間のダイナミズムを実際に感じるのは旧来の展示室の天井照明と、
1998年に増築された現代美術展示室です。12mの立方体を4つ並べた展示室は大げさなまでに巨大な空間。
採光は自然光と人工のものをコンピュータで自動計算、ミックスして均一の明るさを作っているとのこと。
増築された3つの展示室は採光や天井の高さも異なり、作品にあった空間を選べる工夫がされています。
それとは別にエントランスでは北九州市市立美術館でも見られた大理石を用いた巨大な空間が特徴です。磯崎氏の特徴である非日本的空間がよく表れています。
特にチケットカウンター後ろの階段状の空間は企画展ごとに工夫が凝らされたインスタレーション作品が展示されており、見どころの一つです。
色々言っても磯崎氏の代表的建築の一つであることも確かです。企画展は個性的でしかもほとんど巡回しないので、交通の便は悪くとも機会を見つけて行ってみることを薦めます。★
★★建築図鑑41 意外と合理的?「群馬県立館林美術館」 – 博司のナンコレ美術体験2018年6月29日 6:28 PM /
[…] 群馬県と言えばの群馬県立近代美術館やハラ・ミュージアムアークなど実質磯崎新氏の地盤になっていますが、本建築の方が土地になじみかつ他にない建築になっていると思うのですがどうでしょうか?★★ […]