今回は磯崎新さんのハラ・ミュージアムアークに注目してみました。
磯崎新さんは戦後登場した建築家としては第一世代であり、槇文彦さんと並んで在命の建築家としては最長老の一人です。大分県出身で、大分市アートプラザの2階は実質磯崎美術館と化してます。
群馬県の美術館はここも群馬県立近代美術館も駅から遠く、しかも電車もバスも本数が少ないので東京から1日がかりになってしまうという弱みがあります。それでいて結構個性的なぜひ見てみたい展覧会が多いので悩みどころです。
ハラ・ミュージアムアークは品川の原美術館の分館としてオープンしました。原美術館は現代美術専門の美術館としては都内で最古の美術館で、現在も個性的な展覧会を行っていますが、元邸宅だけあって、室内の広さに限界があります。そこで広大な空間を持つ美術館が計画されました。
計画に当たっては施主の原氏より与えられた条件は2つ。➀原氏の商売の関係上木造建築とすること②敷地内をコンサート会場に利用すること
配置計画が三方向に伸びて緩やかな斜面を作っているのは、ステージと客席の計画のためです。
また、現在は日本の古典美術を展示するスペースが増設されています。
正方形の部屋は天井が高く、大きな美術作品を展示するのに適しています。
僕が訪問した際にはマックス・ストリッヒャーの巨大なゴム風船が展示されていました。
他の細長い部屋を含め、採光は全てトップライトから採られています。
窓がないため、より黒い建物が引き立ち、のどかな牧場に異様な雰囲気を与えています。
しかしかまぼこ型の建物で天井採光というのは、ルイス・カーンのキンベル美術館のパクリではないのか?と思うのは僕だけでしょうか?
敷地内には野外彫刻も多く設置されています。特にエントランスに建つジャン=ミシェル オトニエル「Kokoro」は、寡黙な漆黒の美術館のイメージを打ち破ります。
磯崎さんは木造でありながら、「日本的なものへの連想を可能な限り断つ」ことを考え設計したそうです。この辺りは日本以外のあらゆる建築様式をミックスしたポストモダン建築を多く建てた磯崎さんのお馴染みの主張です。
しかしいい意味で、そういった設計者の考えはお構いなしに建物は利用されているようです。バックヤードツアーも積極的に行っており、竣工から30年たった今も日本の現代美術シーンの重要な位置を占めています。
ナンコレ度★
建築図鑑30★ 磯崎氏の代表建築の真価は? 群馬県立近代美術館 – 博司のナンコレ美術体験2018年4月6日 7:04 AM /
[…] 設計者は磯崎新氏。同じ群馬県でハラ・ミュージアムアークなども設計しており、出身地の大分や同じ九州の福岡を除くと、磯崎建築が集中している地でもあります。 […]