愛媛県松山市の伊丹十三記念館に行ってきました。
外観は真っ黒。
また正方形で平屋根。どちらから見てもほとんど同じ外観というある意味異色の建物です。
伊丹十三は映画監督として有名です。もっとも51歳で監督デビューする前は文筆活動など色んな事をしていた人で、記念館ではそのあたりにフォーカスを当てています。
映画の作風は知的エンターテインメントといって、社会的なテーマを扱いながら分かりやすいというものでした。
それを反映してか、記念館も真っ黒、正方形、そして動線もロの字に回るだけで中央は中庭という分かりやすいものになっています。
伊丹十三の家のような記念館にしたかったとのことで、設計者の中村好文氏も主に住宅作品を作っていいる人です。
記念館に入ると真っ先に目につくのが正方形の中庭。ここに伊丹十三が寝そべっているというイメージだそうです。
また観覧の際には係の人が館内の解説をしてくれますが、これも分かりやすさをモットーとした伊丹氏の考えを反映したものと思われます。
建物の素材は非常にシンプルなものを使っています。
見上げると天窓も正方形。この形状が至る所に現れます。
展示室の入り口。摺りガラスの窓から伊丹氏がのぞいています。
中に入ると伊丹氏があいさつするという仕掛けです。
常設展示室は伊丹氏の名前にちなんで、彼の活動を13の章に分け、紹介しています。
上部に細長く伸びている2枚の布はイラストレーターとしての活動を紹介したものです。
ハンドルで回しながらイラストを見ていくというスタイルです。
映画以外ではエッセイストとして有名です。
他に展示として面白かったのが料理について。伊丹氏には料理にまつわるエッセイやTV番組、CMなども多く、映画「タンポポ」はラーメン屋の話です。
もっとも仕事に生かされた趣味といえるかもしれません。
13の章の中には「猫好き」なんてものも。ちゃんと一匹一匹名前が紹介されています。
展示の分量のかなりを占めるのが、CMとテレビ番組の紹介。
やはり食に関するものが多く、中でも地元愛媛県のお土産一六タルトのCMは相当なバリエーションがあります。
最後は謎の怪死と遂げた伊丹氏。ポップな作風と映画が10本に過ぎないことから過小評価されがちですが、その人物と作品には興味が尽きません。★★
建築図鑑127★★伊丹監督も認めた複雑系「ヤマトインターナショナル」 – 博司のナンコレ美術体験2019年5月11日 10:56 PM /
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