今回は東京麻布のジュールAに注目してみたいと思います。
設計は鈴木エドワード氏。日系アメリカ人であり、師匠は丹下健三氏。
近作にはさいたま新都心駅などがあります。
場所は麻布の交差点の目の前。高速道路が目の前を走る場所で、どれだけ魅力的な場所が作れるか、というのが課題でした。
そこで鈴木氏はファザードを特徴的なパンチングメタルの壁で覆い、建物と壁の間に竹の空中庭園を造りました。
鈴木氏は壁をフルメタルジャケットと呼び、竹を日本建築の特徴である縁側や中間領域になぞらえたようですが、こんなわずかな隙間に、しかも竹を植えたからといって日本人は安らぎなど感じません。これはなんとか都心に緑を入れようとした鈴木氏の苦し紛れだといえます。氏が拘ったファザードも良くて可もなく不可もなく(クライアントへの説明は「破れかぶれ」。通常なら時代遅れと考えるところです。
しかしその一方で鈴木氏は公開空地の設計には成功しています。店舗、オフィス、スポーツジム、住居の入居を要求する難しい計画だったと考えられますが、
鈴木氏は1~3階を公開空地とし、道路と反対側に店舗を設けて解放部分で食事、休憩できるように設計しました。デザイン的には失敗だったファザードも雨露を塞ぐ役目としては優秀です。氏曰く「固く、冷たく、時には非人間的な外観からいったん中に入ると、そこにはうって変わって柔らかく暖かい空間が守られている」
浮いた建築面積を4~11階で100%フル活用しました。竣工時は地下1階がレストラン、1~3階が公開空地と店舗、4~7階がオフィス、8,9階がスポーツクラブ、10、11階が住居となっていました。
奇抜なデザインに惑わされがちですが、意外にも日本の法体系に高度に適応した優等生だったことが分かりました。ナンコレ度★
建築図鑑22バブル建築が生き残った訳「WEB」 – 博司のナンコレ美術体験2018年2月21日 11:10 PM /
[…] ジュールA […]