水戸芸術館の「霧の抵抗 中谷芙二子」【2018年10月27日[土]~ 2019年1月20日[日]
】を見てきました。
中谷さんは2018年冬にメゾンエルメスで個展をしたばかり。
ノズルから霧が吹き出す作品は「霧の彫刻」として有名で、1970年の大阪万博で「ペプシ館」を覆ったのを皮切りに、ヨーロッパ各地で展示されています。
現在は立川市の昭和記念公園で「霧の森」として常設展示されています。
今回撮影可能なのは野外と会場内の作品2点のみ。まず美術館中央広場に展開した作品です。
水戸芸術館設計の磯崎新氏の妻でもある宮脇愛子氏の彫刻作品の裏に霧が吹きだすノズルが仕込まれており、そこから広場一体に霧が広がる仕掛けです。
かなり派手に吹き上がり、広場一体が霧に包まれます。
一部は前面道路にも漏れてますが、交通規制上OKなんでしょうか?
夜はこれにライトアーティスト逢坂卓郎氏の照明が加わり、一層幻想的な空間を作り出しています。
さて、「霧の彫刻」といっても素人目にはただノズルから霧が噴出しているだけで、「どこがアートのなの?」と言われても無理からぬところ。
展示ではそんな「霧の彫刻」を技術的な側面からも多角的に紹介。
作品の開発秘話としては農業用の噴霧器を元にしていることが紹介されていました。そして水のみを使った霧の噴霧器は中谷氏のオリジナル。その後機械の冷却などにも応用されたそうです。アート作品が産業経済活動に応用されたレアケースです。
また気象観測データをもとに霧の噴出パターンをコンピュータ制御することで、霧がその場に長くとどまるよう工夫されています。風洞実験も行った仕掛けの結果、あのペプシ館ができたんですね。そういえば水戸芸術館の作品も霧が結構長時間溜まってました。
資料系の展示が多いのですが、もちろん「霧の彫刻」の動画も多く紹介されています。
主にヨーロッパ各地の期間限定の作品が壁一杯を使って高画質で紹介されていました。
どこの国も子供の反応は変わりませんね。
また、中谷氏が日本のビデオアートの最初期の一人であることは,メゾンエルメスの展示でも明らかでした。
今回もビデオギャラリーSCANの活動など、大量のビデオアートが紹介されています。
特に女性アーティストを紹介した作品が面白かったです。
そういえばメゾンエルメスの展示も「モナリザ展」の行列を撮った作品が印象的でした。
廊下の途中に設置された「卵を立てる」のインスタレーションもインパクトがありました。