2018年8月21日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★時をかける侍「野口哲哉  ~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」

ポーラミュージアムアネックス(銀座)の野口哲哉「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」2018年7月13日(金)-9月2日(日)】を見てきました。

野口さんは2014年の練馬区立美術館以来、ヘンなポーズの侍フィギュアのイメージがあります。今回は化粧品のギャラリーということもあり、ちゃんとそれに合わせた作品が展示されています。

野口哲哉「Clumsy-heart」

ハートを描く侍というだけでもあり得ないのですが・・・

なんと描いている道具が口紅になっています。

野口哲哉「アクションマン・シリーズ」

こちらは集合展示になってるだけに、ギニュー特戦隊みたいに見えます。

野口哲哉「蛤兜の居る風景」

こちらは某ネズミーマウスに似ていると解説されていましたが・・・

どちらかというとこちらの方を思い浮かべました。ウルトラ怪獣は変わり兜からもデザイン拝借してるらしいですし・・・

野口哲哉「ビック・ホーン」

こちらは福島正則で有名な巨大角の兜。シンプルで分かりやすい表現だけに野口さんのアイコン的な作品になってる気がします。

野口哲哉「ARMOUR STYLE備前風」

岡山県の黒備えの鎧と説明されていますが、それより気になるのは小学校風の机にビーカーに入った花がSFチックで気になります。時をかける侍?

 

侍フィギュア単体だけでなく新機軸も色々出てきています。

野口哲哉「Insectman-Golden armour and “WARABI”sashimono-」

これらは昆虫標本風。標本になってはいますが、安らかに眠っているようです。戦国時代にわらびの指物があったとは思えませんが、昆虫がらみでいうと冬虫夏草を思い浮かべます。

野口哲哉「AD1230 ~紫裾濃白妻取の鎧と雀~」

こちらのシリーズは鎌倉時代や戦国時代の侍を、同じ時代の西洋画の手法で描くというもの。

西洋画の歴史に詳しくないので、何の絵が元ネタかは分からないのですが、それでも何となく既視感があり、その違和感が楽しくもあります。

野口哲哉「AD1555 ~三日月の兜と釣鐘草~」

日本にはなかったリアリズム絵画を取り込んだもの。しかしそれより背景の文字が気になります。プロ選手がインタヴュー受けるときの背景みたい?

野口哲哉「AD1450 ~朱波紋入綾包の胴丸~」

横顔アップの人物画はピエロ・デ・ラ・フランチェスカという作家が元ネタだそうです。こんなオサレな恰好でかしこまってるのが可笑しいですが・・・。波線といえばブリジット・ライリー風でしょうか?

野口哲哉「AD1490 ~色威の腹巻とフランドルの景色~」

バックはのどかなフランドルの田園風景ですが、手前にはフル装備の侍が洋書を見て相談という絵面。解説にある通り、確かにこの構成はボッシュやブリューゲルの奇妙さに通じるものがあります。

野口哲哉「AD1400 ~地学の寓意~」

ガリレオ・ガリレイ風の賢そうな侍。しかし頭から飛び出ている(?)指物がUFOのように浮かんでいるせいで、一気にSF風に。

野口哲哉「AD1585 ~赤母衣と空~」

日本画ではいつぞ登場しなかった空の色。母衣なんて西洋人から見たら空を飛ぶ道具にしか見えないかもしれません(それは日本人が見ても同じか?)

野口哲哉「風船追物語図」

フル装備で風船を見送る(?)侍たち。こちらは背景が日本画風で、山本太郎氏の作風に近い部分もありますが、この奇妙さはやはり野口氏にしか出せません。

 

色々なシリーズを展開しても、「野口風」としか言いようのない奇妙さが付き纏うのが面白いです。かなり見ごたえのある展示でした★★★


野口哲哉「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」2018年7月13日(金)-9月2日(日)11:00-20:00(入場は閉館の30分前まで)
入場無料/会期中無休

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