2019年2月20日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★建築図鑑85関西以外では最高峰?「ぐんま昆虫の森」

群馬県桐生市のぐんま昆虫の森に行ってきました。

他の群馬県下の文化施設と同様、ここもまた駅から遠く、バスもほぼないです。

山道をひたすら歩く。

これが群馬クオリティなのでしょうか?

歩くこと20分ほど、ようやく見えてきます。

第一印象はとにかくデカい。昆虫という小さなものを展示するのに並みの県立美術館並みのボリュームです。

そして例によって建築の全貌はなかなか見えません。これも安藤さんお馴染みの手法です。

動線は山に隠れて一部しか見えない建物を見つつ、上階からアクセスし、熱帯植物園を通って下から降りるというもの。

途中には昆虫仕様のぐんまちゃんや虫の形のベンチ(?)があります。

この巨大な建物も昆虫の森の中ではごく一部に過ぎません。

里山保護の目的があったようで、周囲は田んぼや貯水池になってるところもあります。

 

内部はいつものコンクリート打ちっぱなしですが、壁に色々貼っています。

安藤さん的にこれでいいのか?

建物を活用するという意味では大正解ですが・・・

他にも過去のワークショップで作ったと思われる巨大モデルや虫のベンチが大量投入されており、楽しい空間になっています。

 

迷路のような安藤建築お馴染み(?)のデッドスペースを活用して、冬眠中の昆虫(サナギ)が観察できるようになってました。

ワークショップのため、空間はかなり広々と取られています。

そのため安藤さん得意の迷路は控えめ。

 

ワークショップスペースと違い、展示スペースは安藤さんらしい複雑な空間になってます。

ニホンカナヘビ

専門館だけあって、動物園のようについでの展示になっていません。

これでもか!ってぐらいうじゃうじゃいます。もちろんカナヘビは虫ではないのですが、まさにって感じです。

ここだけ狭い洞窟のような作りになっています。

虫の展示だからあんまり広い空間だと不自然ですが・・・

 

肝心の植物園の内部は意外とフツーな空間。

安藤さんとしては目の前を池にしたりして、外部と一体化した空間を作りたかったのかもしれませんが、どこまで効果を上げたのか疑問です。

 

出口ははじめに見えたガラスドームの下です。

ガラスドームの下は全て階段になっています。大阪府近つ飛鳥博物館以来の総階段建築です。

ほとんど階段の踊り場しかない家ギャラリー野田など、安藤氏は階段にはかなりの拘りがあり、ここにきてその熱が復活した形です。

しかし近つ飛鳥博物館と同様、この階段も動線には含まれていません。

階段上から見た建物と群馬の平野が見下ろせます。

飛鳥博物館も山の上に建っており、ロケーションの共通性が階段建築の復活につながったのかも。

 

別棟にはカフェ、ショップ、図書室が収まります。

こちらでも階段が印象的に使われています。

昆虫に関する専門紙など、虫関係だけならジュンク堂も圧倒する品ぞろえです。

 

唯一設計者をアピールするコーナー。

やはり関東では安藤パワーが弱いのか?

 

さらに植物園での植物を育成する過程も見せています。

教育に対するこだわりはさすが。

 

最後に目の前の池を渡って、ようやく建築の全貌が見えます。

羽を広げた昆虫を極端に抽象化した形に見えなくもない?

 

ガラスドームの下がちょうど植物園と階段で半々になり、それぞれの下に展示室が収まるという構成です。

 

今や世界的な建築家である安藤さんですが、面白い建物は圧倒的に関西に多く、また世界中に安藤さん設計の建物がある今日でもその数は関西に多く、作品が多い県は大阪、兵庫が多数を占め、以下東京、香川と続きます。

安藤さんの建物は土地の造成を含めたものが面白く、近つ博物館や、狭山池博物館、木の殿堂淡路夢舞台、本福寺水御堂などがあります。

制限が多すぎる東京や、リゾート地化してしまい土着性がなくなった直島はその面白さがないです(海外はよく知りませんが)

 

本建築は安藤さんの「長く使える建築」のコンセプトのもと、地域の子供たちによく利用されており、関西以外では珍しく彼らしい建物になっています。★★★

 

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