2018年10月16日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★抽象表現のあれこれ「抽象の悦び」

神奈川県立近代美術館「抽象の悦び」【2018年4月7日(土)~6月10日(日)】を見てきました。

 

戦前戦後を通しての抽象画の展覧会ですが、具体的なイメージが描かれたものもあり、絵画の世界の豊かさを実感できる作品が多いです。

 

村井正誠「ウルバン」

例えばこの作品は旧日本軍が撮影した中国の地方都市の航空写真をもとにしています。「ウルバン」とはフランス語で都市を意味します。

 

斎藤義重「鬼」

謎めいたタイトルですが、色彩や形状は日本の土着めいた鬼のイメージを持っているように見えます。斎藤さんは木のボードを組み合わせた立体作品で有名ですが、この作品もそれを平面化した作品に見えます。

 

鶴岡政男「射的」

今回の出品作の中で一番具象的です。鶴岡さんの作品は非常に見て楽しい作品が多く、本作も制作年が1957年ということで米軍に対する批判も読み取れますが、それよりヘルメットをかぶった兵士?のユーモラスさが強調されています。

 

菅井汲「赤と黒」

菅井さんは自動車社会をモチーフにした作品が多く、本作も背景の黒い丸はタイヤ、その後ろの縞模様もスピード感を表現しているように見えます。

その一方で全面の□○△の図形は禅僧で画家の仙厓に通じるものがあります。フランスで活動した菅井さんが日本らしさを現代的に表現した作品でもあります。

 

抽象画というキーワードを用いつつ、日本絵画の重要作品を集めた豪華な展覧会です。新しい表現の追求という意味では同時開催のムナーリ展にも通じるものがあります。★★

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