URANO(天王洲アイル)の渡辺豪「ディスロケーション」【3月3日から4月7日】を見てきました。
展示空間は岩崎貴宏の展示と同様、締めきられた真っ暗な空間。黒い壁に映像作品が浮かびます。
2017年にあざみ野コンテンポラリーで展示された作品の再構成だと思われます。
始めに締め切った食器棚の映像が映し出され・・・
ゆっくり扉が開き、中に整然と様々な形の食器が収めれているのが見て取れます。
やがて見えない手によって食器が次々と落下して割れていきます。
ゆっくりと音もなく落下していく食器。落ちていく食器によって映像同士が上下関係にあることが分かります。
渡辺さんはこれまでの「光」に加えて、研修先でのフィンランドの「白夜」などから認識や身体の「ズレ」も取り込んで今作を作ったそうです。確かに昼とも夜とも判別できない薄暗い映像は北欧にふさわしいかも。引きこもりがちになる北欧の作品として家の中の食器棚に注目するのも面白いです。食器棚に宿る精霊の話とかありそうです。
またCGに見える本作ですが、食器は実際に制作されたらしく、本物よりはるかに薄くできています。円状に分解するという不自然な割れ方もそのせいです。
「食器が割れる映像」なんて口で説明されても面白さが伝わりませんが、展示の演出もあってなかなか面白い展覧会になっています。「食器が割れて床に散乱する映像」もあるし、隣の宇治野さんより見るのは時間かかります。じっくり世界観に浸りたい作品です。★