福岡市のホテル・イルパラッツォに行ってきました。
イタリアの建築家、アルド・ロッシの作品です。
歴史の国、イタリアでは新築での仕事があまりなく、建築家は海外での仕事が多いです。
特にロッシは日本での仕事が多く、本作は彼の日本デビュー作です。
ロッシのキャリア的にも大事な仕事だったと思われ、他の日本の仕事より力が入っているよう感じます。
ホテル本体も異様ですが、足元の台(?)も異色です。
立地は典型的な福岡の中州の繁華街で、ラブホとかいっぱい立っている場所です。
ロッシは周囲の雑踏から切り離す意味でこのような台を作ったのだろうと思われます。
と、言っても周囲の建物はこのホテルより高いものもあり、全く埋もれてしまっています。
第一、目の前には道路との間にこのホテルより遥かに巨大なパチンコ屋が建っています。
屋台で有名な中州側の向こう側から見てもこんな感じです。
中州の川岸はどこもこんな感じの光景です。
ただ、この台部分にも機能があり、当初は両端に合計4店舗のお店が入っていました。
これらのお店も倉俣史郎など有名デザイナーがデザインしていたようですが、一店舗を除いて営業していないようでした。
当初のコンセプトは崩れましたが、超独自路線は健在で、生きているんだか死んでいるんだかよくわからない街路が形成されていました。
この辺りの整然とした寂しさはロッシの初期代表作、ガララテーゼの集合住宅を彷彿させます。
素材や色使いを突然変えたり・・・
誰も見ないのにやたら立派な掛け時計があったり・・・
こんなところで誰も休まないと思うのに(でもしっかり掃除されてる)ベンチがあったり、ムダに隙がない不思議な空間です。
正面も素材、色使いが独特過ぎます。
でかすぎる植木鉢も気になります。
ここからしてもうタダモノじゃない感じがします。
ドアの開き方も独特。
1階廊下。決して広くない(というか狭い)のですが、その分デザインの凝縮具合がハンパないです。
ロビーの謎の椅子。
エレベーター。基本どこも照明を落としており、すべてがデザインされており隙が無いです。
各階の廊下。増々暗いです。
客室内は料金の割には十分広く、設備も整っています。
何故か全閉できる洗面所。風呂もガラス張りにブラインドがあり、解放と遮蔽が選べる仕様でした。
他、シャンプーとか水も見たことのないブランドでした。
さて、朝食が美味しいとアピールしてたので、頼んでみました。
エッグベネディクトを選択できるなど、かなり本格的な仕様でした。
またレストラン空間もかなりの拘りようなので、こちらも必見です。
ちなみにホテル正面にあったラブホ。こちらもちょっと不思議な造形です。
デザイナーホテルとしては格安ですが、デザインの濃さは別格で、しかもアメニティも食事も一流ホテル並み。建築、デザインファンにも一般ユーザーにもお勧めできるホテルでした。★★★
★★建築図鑑170プレミアムホテル門司港 – 博司のナンコレ美術体験2021年2月15日 6:49 PM /
[…] 福岡はロッシの日本デビュー作であるホテル・イルパラッツォと、遺作が両方見ることができ、しかも両方ホテルなので比較もできます。 […]