東京国立近代美術館(千代田区竹橋)のMOMATコレクション【2018.06.05-2018.09.24】を見てきました。
いつもは戦後の現代美術は2階のみでしたが、今回は3階の途中から現代美術になっていました。東京都現代美術館の休館の影響でしょうか?
その3階の第7室では1968年に制作された作品のみが集められていました。
今から50年前の1968年は海外ではプラハの春、ケネディ暗殺、文化大革命などがあり、国内でも佐藤栄作内閣に対してベトナム戦争反対、成田空港建設反対運動などが激しく起こりました。このことからこの年は政治の季節と呼ばれています。
しかし本展ではそのような政治的作品をあえて避けて、それ以外の作品を集めています。
東京都現代美術館でよく見た作品・・・と思いきやこれはボクサーグローブをつけた別バージョンです。
このころボクシングは今より大人気だったそうで、それにあやかった作品と思われます。
またアメリカ国旗をかぶっていながら、僕さーの肌の色が緑なのも意味深です。
2016年笠間日動美術館で個展もやった作家の代表作です。
同じような顔の4人の人物、大気がうねるような背景、色鮮やかなサイコロ台などにより、ただならぬ空気を醸しだしています。
タイトルも相まって単なるサイコロ遊びに興じる人々ではなく何か超越した存在を感じます。これはむしろ国際的不安感の現れ?
恒例になりつつある国立近代美術館のナゾ動画シリーズ。1時間近くも部屋の角を背中で打ち続けた映像を横倒しにしただけ。行為そのものよりその音が前後の部屋に響き渡ることが重要な気がします。強くその空間を支配する作品です。
その下の階、11室では「顔」の特集。
加藤泉、奈良美智などはこのテーマに欠かせないとして・・・
高嶺さんの作品が興味深かったです。クレイアニメーションの作品で、粘土でできた巨大なジョージ・ブッシュ大統領の顔が変形させられながら途切れ途切れに「God Bless America(アメリカに神の御加護を)」を歌います。
粘土の製作スタッフ(=国民)に弄ばれるのはむしろブッシュ大統領の方で、彼も世論に踊らされる哀れな一人の男に過ぎないことを物語るかのようです。
最後の12室ではディヴィット・スミスの作品を新しく収蔵したことにちなんで、その周囲(?)の作品を集めています。
いいのか悪いのかよく分からない抽象彫刻の周りに、個の展示室ではお馴染みの作品が並んでいます。
その中ではラウシェンバーグの作品を見れたことが収穫でしょうか。タイトルは作品左の小箱に書かれた製品名そのままです。
使用感、というより雨に濡れて放置されてた感満載な段ボールを使っているところがポイント高いです。この辺り、同じようにパッケージに注目してもウォーホルとは全く異なります。
彼の作品の中では一見寡黙に見えますが、その分ユーモア性が引き立ちます。
段ボールとしてすら価値がなくなったものがずっと保存されていることそのものが、作家の問題提起なのかもしれません。
ちなみに小企画展は滝口修造特集でした。
荒川修作、赤瀬川原平、河原温などなどお馴染みの面々に加えて・・・
写真作品が意外と面白かったです。
単なるマネキンの足ですが、奇妙な2匹の生き物が立ち話しているように見えます。
まとめて見ると彼の好みのようなものが見えてくるのが面白いです。
広すぎて時間がないと厳しいですが、企画展のついでにさっとでも観る価値は十分あります。結構レアな作品に出合えます。★★
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