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審査があってもなくても・・・ 「第71回 日本アンデパンダン展」

国立新美術館(六本木)の「第71回 日本アンデパンダン展」【2018年
3月21日(水)~4月2日(月)】を見てきました。

日本アンデパンダン展は戦後まもなく創設された、出品料さえ出せば無審査で作品を展示できることを売りとした公募展。初期の同展覧会は赤瀬川原平ら戦後第一世代が大いに暴れまわりました。その活躍は同氏の著書「反芸術アンパン」に詳しいです。例えば・・・

・本物の刃物を持った泥棒の恰好をしたマネキンが五右衛門風呂から出てくる作品

・上野駅まで続く紐

・自由に持ち帰れる洗濯ばさみ

・展覧会場でミニチュアレストランを開く

などなど、思い付きとしか言いようのないふざけた作品が溢れかえっていたようです。

そんな悪しき伝統ある(?)公募展ですが、正直今日日のアンデパンダンは非常に退屈でした。

少数の例外を除き、同じ会場で少し前にやってた大学の卒展のレベルと落としたような作品が多かったです。図らずも美術教育の重要性を知らされました。

阿久津隆「県境の壁」

それでいてサヨク的作品は健在でした。上記の作品は割と面白い方で、他はもっと直接的な表現のものが多かったです。

水島小春「平成女学院」

無審査であることを感じさせる作品もなくはないですし、他の公募展にはないような自由さは感じましたが、だからと言って作品の質が担保されるわけではない、というのが正直な感想です。

 

広い会場にはアンデパンダン展を振り返るコーナーも。

かつては鶴岡政男の代表作「重い手」や山下菊二や・・・

丸木夫妻の原爆絵画も出品されていたようです。これらは戦後史に残る重要作品です。

 

が、近年はこの公募展から出世したビッグスターはいないようです。出品作が日曜画家ばかりになってしまった原因は色々考えられますが、一つは普通の審査がある公募展の方が入賞特典が色々あるからでしょう。あとは作品発表の機会が多様化し、本当に自由な作品を出したいなら、美術館外で発表した方がいい、というのもあるのではないでしょうか?結論として、審査のあるなしにこだわる必要はない、ということでしょうか。

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