ポーラミュージアムアネックス(銀座)の野口哲哉「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」【2018年7月13日(金)-9月2日(日)】を見てきました。
野口さんは2014年の練馬区立美術館以来、ヘンなポーズの侍フィギュアのイメージがあります。今回は化粧品のギャラリーということもあり、ちゃんとそれに合わせた作品が展示されています。
ハートを描く侍というだけでもあり得ないのですが・・・
なんと描いている道具が口紅になっています。
こちらは集合展示になってるだけに、ギニュー特戦隊みたいに見えます。
こちらは某ネズミーマウスに似ていると解説されていましたが・・・
どちらかというとこちらの方を思い浮かべました。ウルトラ怪獣は変わり兜からもデザイン拝借してるらしいですし・・・
こちらは福島正則で有名な巨大角の兜。シンプルで分かりやすい表現だけに野口さんのアイコン的な作品になってる気がします。
岡山県の黒備えの鎧と説明されていますが、それより気になるのは小学校風の机にビーカーに入った花がSFチックで気になります。時をかける侍?
侍フィギュア単体だけでなく新機軸も色々出てきています。
これらは昆虫標本風。標本になってはいますが、安らかに眠っているようです。戦国時代にわらびの指物があったとは思えませんが、昆虫がらみでいうと冬虫夏草を思い浮かべます。
こちらのシリーズは鎌倉時代や戦国時代の侍を、同じ時代の西洋画の手法で描くというもの。
西洋画の歴史に詳しくないので、何の絵が元ネタかは分からないのですが、それでも何となく既視感があり、その違和感が楽しくもあります。
日本にはなかったリアリズム絵画を取り込んだもの。しかしそれより背景の文字が気になります。プロ選手がインタヴュー受けるときの背景みたい?
横顔アップの人物画はピエロ・デ・ラ・フランチェスカという作家が元ネタだそうです。こんなオサレな恰好でかしこまってるのが可笑しいですが・・・。波線といえばブリジット・ライリー風でしょうか?
バックはのどかなフランドルの田園風景ですが、手前にはフル装備の侍が洋書を見て相談という絵面。解説にある通り、確かにこの構成はボッシュやブリューゲルの奇妙さに通じるものがあります。
ガリレオ・ガリレイ風の賢そうな侍。しかし頭から飛び出ている(?)指物がUFOのように浮かんでいるせいで、一気にSF風に。
日本画ではいつぞ登場しなかった空の色。母衣なんて西洋人から見たら空を飛ぶ道具にしか見えないかもしれません(それは日本人が見ても同じか?)
フル装備で風船を見送る(?)侍たち。こちらは背景が日本画風で、山本太郎氏の作風に近い部分もありますが、この奇妙さはやはり野口氏にしか出せません。
色々なシリーズを展開しても、「野口風」としか言いようのない奇妙さが付き纏うのが面白いです。かなり見ごたえのある展示でした★★★
野口哲哉「~中世より愛をこめて~ From Medieval with Love」2018年7月13日(金)-9月2日(日)11:00-20:00(入場は閉館の30分前まで)
入場無料/会期中無休
日常との突然の別れ★「トーマス・ドイル “HOLD YOUR FIRE”」 – 博司のナンコレ美術体験2018年12月24日 11:25 PM /
[…] 日本ではこの手の作家は事欠かず、日本の専売特許と思ってましたが、海外にもいたんですね。 […]