今回は隈研吾氏のドーリックに注目してみたいと思います。
M2ビルに続いて隈氏の都落ち以前の東京建築第二弾です。
特徴的なのは何といっても内部がエレベーターになっている巨大な柱。縦横に走る電線とマッチしてるのは鈴木エドワード氏の「WEB」とも共通します。
残念ながら中は普通の四角いエレベーターでした(笑)
元ネタになったのが落選したアドルフ・ロースの「シカゴ・トリビューン案」。ロースは「装飾は罪悪」という言葉が有名です。隈氏はこの言葉を建築様式は装飾に使うのではなく、この案のように建築そのものの力強さを表現するために使うべきだという意味と解説します。
確かにこの建物、様式そのものが建築を形成しています。竣工から30年弱経ってもほとんど外観が変わらないのはそれだけファザードが完成されているからだとも考えられます。
建物の裏側です。様式は保たれていますが、取って付けたような非常階段はポストモダン期の特徴のような気がします。細かい装飾が省略されているのも安っぽく感じます。ただ露悪的にも感じる突き抜けた表現は他のポストモダン建築家にはない強みで、この建物が生き残ってきた要因にもなっていると思います。
非常階段を屋上まで登ったところ。屋上のアーチがハリボテであることが分かります。分かってはいましたが改めて見るとなんだか笑える光景です。
ちなみに裏手は墓場。そういえば表の青山通りの華やかな雰囲気に反してこの一本入った通りはくすんだビルが多いような気がします。
華やかさと死が隣り合わせの青山という土地には、このような様式の墓場のような建物がふさわしいのかもしれません。
★★建築図鑑77 中二病と合理性「物質試行20 麻布EDGE」 – 博司のナンコレ美術体験2019年1月18日 9:28 AM /
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