• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

廃墟とマリオ★★猪瀬直哉「Blue」

THE CLUB(銀座)の猪瀬直哉「Blue」【2018年12月01日(土) – 01月31日(木)】を見てきました。

谷口吉生氏設計のGINZA SIXの6階にあります。

ちなみに階下ではニコラ・ビュフの展示が展開してます。

 

猪瀬氏の作品は20th DOMANI・明日展で見ました。

他のアーティストが立体、インスタレーション、パフォーマンス、ニューメディアなどに走る中で彼のみ絵画、しかもペンギンと廃墟という謎の組み合わせが印象的でした。

猪瀬直哉「almost home2」

今回もそのシリーズは健在です。

青い空、生垣、芝生、プール、ペンギンというとても奇妙な取り合わせです。

空とプールが全く同じ色なのはジャームズ・タレルの作品を思わせる人工性を強く感じます。

また色数を抑えることでモンドリアンの抽象画のような規則性をも感じさせます。

ペンギンを多用するのもそのカラーリング故でしょうか。

猪瀬直哉「polylith into the blue」

こちらは廃墟シリーズ。仮面ライダーに出てくる採石場みたいな場所ですが、壁面が滑らかなのでダムかも?

地面にはいつものプール。そしてやはり青空です。

施設は真新しく、廃墟っぽくないですが、用途不明な感じが打ち捨てられた印象をも含んでいます。

猪瀬直哉「Intorelance」

SF的な光景。巨大で超テクノロジーを持った古代文明の遺跡のようです。

やはり構造物は用途不明で、生物の気配は感じません。

 

猪瀬直哉「over stage 9 over」

新機軸の作品です。

両サイドはマリオのステージ。中央はその地下空間をリアルに描写したものと思われます。

両サイドのステージは本来コンピュータグラフィックスなので朽ち果てるはずはないのですが、ここでは絵具が一部剥落するなど、打ち捨てられたような演出がされています。

三面ともやはり生物の気配がなく、ゲームの画像だけあって静止した感じが強調されています。

新しいけど人気のない、打ち捨てられた空間という猪瀬氏の世界観はマリオのステージに通じるものがあるかもしれません。

 

猪瀬直哉「Caucus race」

福田美蘭さんみたいな作品も。どんな解釈があるのか分かりませんが。

 

猪瀬直哉「The beginning of the world」

一見鏡に向かうゴリラのようにも見えますが、一部のゴリラが映ってなかったり、獣道が鏡の前後で続いていたり、全体的にミョーな感じです。

それとこれはテレビモニター?もしくは2001年宇宙の旅的なモノリス?色んな解釈が成り立ちそうです。

 

小さな展覧会ですが、バリエーションが豊富で結構見ごたえがありました。★★

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