2018年10月17日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★カプセルに未来を載せて「カプセルタワーのメタボリズム2018」

中銀カプセルタワービル(銀座)の「カプセルタワーのメタボリズム2018」【2018.8/27-9/1】を見てきました。

中銀カプセルタワービルは建築家・黒川紀章の代表作です。

黒川氏をはじめとする日本の建築家が提唱した建築運動「メタボリズム」の精神を、唯一実現させた建物です。

建物は階段、エレベーターなどをまず作り、そのあとトラックで運んできた「カプセル」を後付けするという方法で建てられました。

普段はマンションなので住民以外立ち入り禁止ですが、今回はカプセル内で展覧会をやるということで、特別に無料で中に入れました。

写真はエントランスの扉。円と正方形、ナナメ45度という黒川氏らしいシンプルで合理的ですが冷たい感じのする未来的デザインが特徴です。

集合ポスト。隈研吾氏は黒川氏の未来的な理論に反してボロボロの施工に失望したといいますが、僕はむしろ限られた予算と工期の中でよく考えられたデザインだと思います。

 

今回は展覧会とともに、保存状態の良いカプセル1つも中を見せてもらいました。

備え付けのベッドのみ撤去されており、別途脇の他の家具類はそのまま残っています。

テレビも埋め込まれています。のちに世界初のカプセルホテル、カプセルイン大阪をデザインした黒川らしく、当時の最先端の小道具を揃えつつ、枕元に全機能を配置しているのが特徴です。

狭いながらもシャワーとトイレも備え付けられていました。

ここでも大きく角を落としたデザインが特徴です。

もっとも25年ほどで取り換える予定だったカプセルが設計の都合で一度も取り換えられていないせいで、部屋は老朽化が進んでおり、お湯は出ず、トイレもなるべく共有のものを使うよう言われているそうです。

また部屋によっては風呂やトイレを撤去してるところもあります。

窓からの眺め。もともとは円の中心を軸にしたブランドが入っていました。

防音のため窓はオプションで2重にできました。

他にも家具類も様々なオプションがあったそうです。

 

元のオレンジ色が少し子載っている、オリジナルの共用部分の集合メーター。当初は壁がピンクだったり、かなりサイケディックな空間だったようです。

A棟とB棟の空中ブリッジより下を見る。カプセルの老朽化ぶりがよく分かります。屋根に雨がたまってることも。

予算の都合上、配管はパイプシャフトがなくカプセルの隙間から上下させています。これが現状給排水を困難にしている原因です。

 

別のカプセルでは6人の学生がカプセルタワービルの再生プロジェクトを提唱する展覧会を行っています。

これはタワーを一棟増やし、そこをコミュニティセンターにする案です。さらに2階オフィスの撤去なども提案しています。

こちらはカプセルとタワーの間に隙間を設け、風と光を通すとともにカプセルの交換を容易にする案です。

こちらはカプセルの数を減らすとともにバリエーションを増やす案です。

黒川氏も当初デラックスタイプのカプセルをつけることも考えていたそうです。

こちらは各カプセルの家主によるDIYが進む現状を考えて、低層部分を工房にする案です。

 

こちらは唯一シルエットが全く変わっています。近くにもう一棟タワーを立て、そちらをカプセルのメンテナンス工場にする案です。

建物の周囲にガラスと鉄骨を這わせ、カプセルの設備面をバックアップするとともに交換も容易にするという案です。

さらに現在半廃墟化した外観もハーフミラーなどを用いて見栄え良くするとのこと。

個人的にはこの案が一番現実的だと思います。

 

やはりこの建物はいろんなインスピレーションが働く建物ですね★★★

コメントを残す