千葉県佐倉市の佐倉市庁舎に行ってきました。
設計は黒川紀章氏。
JR佐倉駅と芦原義信氏設計の国立民族歴史博物館の間にあるので、ついでに見るのに都合がいいです。
外観の特徴は何といっても正面に付いた4×4個のカプセル。
竣工は1971年で中銀カプセルタワービルの1年前。
しかしあちらが本当にカプセルをエレベーターや階段の入るコア柱に後付けしたのに対し、こちらはカプセルっぽい部屋が付いているだけ。
セルフパロディとも言えますが、やっつけ仕事にも感じます。
この頃黒川氏はもっとも多忙だった時期で、この建物も片手間にやったのでは?と疑いたくなります。
しかし佐倉市が制作した市庁舎の記録映像を見ると、そんな考えも吹き飛びます。
建物左右の巨大なエレベーター階段を内蔵するコアを先に建て、その間の床を地上で組み立て、リフトで一気に引き上げるリフトアップ工法という手法を使って建設されています。
この工法は危険な足場作業が減るとともに工期も短縮されるというメリットがあり、今日でも先進的な手法です。
カプセルの間を走る太い鉄柱はこのリストアップ工法の際にガイドを務めたと考えられます。
パイプを横に通すことにより、カプセルっぽさを強調しています。
側面に丸窓が付いているのは、中銀カプセルタワービルの大きな丸窓のパロディ?
こちらの窓とサッシは規格品だと思われるので中銀に比べると単調さが目立ちますが、それでも黒川氏らしいデザインが伺えます。
もし世界中にカプセル建築が普及していたら、桜のようなデザインになっていたかもしれません。
中銀がガンダムなら佐倉はジムみたいなものでしょうか?
内外を貫くパイプがちょっと未来世紀ブラジル風?
結構古い建物ですが、大事に使われているようです。
1,2階は当時流行りのピロティ空間になっていますが、今日日ではちょっと暗く感じるかもしれません。
夢中空間は黒川氏お得意の手法だったようで、この時期にビッグボックスや福岡銀行本店などでも発揮されています。
カプセルだけでなく、新しもの好きの黒川氏主導の先端工法が伺えるデザインも沢山あります。
議会棟もHPシェルだし、意外と見ごたえのある建築です。