• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

建築図鑑36 建てっぱなしの末路「下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館」

(新建築より)

今回は長野県諏訪市の下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館に注目したいと思いま

す。

 

設計者は伊東豊雄さん。代表作はせんだいメディアテークなど。安藤忠雄さんと同年でこの年代の代表的建築家です。

諏訪湖は伊東さんの出身地で他に藤森照信さん、原広司さんもこの辺りの出身です。周りを山に囲まれたこの空が高い土地は建築家にインスピレーションをもたらすらしいです。

博物館の前の道路は浜辺を埋めてできました。伊東さんはこの浜辺を通って通学していたとのこと。

この埋め立て道路の山側にはすぐ以前からの道路が並行して走っており、その間の細長い不整形地に博物館は建っています。

特徴的なシルバーの外観は立地もあって魚を思い浮かべます。

が、中に入ると天井は木張りであり、船を思い浮かべます。伊東さんは諏訪湖の水そのものに捧げるデザインにしたとのこと。

アプローチの屋根や・・・

エントランスの家具、階段などは軽やかで建物が持つイメージに統一感をもたらしています。

2階のカフェコーナーもかっこいいのですが、入場者が少ないせいか、使われてない様子。

 

一方細長い展示室は向かって右が島木赤彦の仕事を、左が諏訪湖の文化を展示してます。

諏訪湖に張った氷の亀裂を神が渡った後だとする「御神渡り」など展示内容自体は結構興味深いのですが・・・

展示が更新されてないらしく、誰もいないせいもあって寂しい印象です。この浜辺の再現展示はなぜかカエルだけ機械仕掛けでゲコゲコ言っててかなり不気味でした。

ですが、最大の問題は湖から見て奥側の特別展示室です。

湖から見えないとはいえ、道路に面した部分です。もう少しデザインできなかったのかと思います。

メンテナンスも全くされてないようです。同年代の安藤忠雄さんは過去の作品の維持に熱心のようですが、伊東さんは自分の郷里の作品すら雑誌の写真に撮られるところだけ作り込んで後はほったらかしの、自分の出世の踏み台にしか考えていないのでしょうか?安藤さんと伊東さんのその後の活躍の差もこの辺りにあるのではと感じます。

 

コメント一覧

建築図鑑46 まさかのフジモリ博物館?「神長官守矢史料館」 – 博司のナンコレ美術体験2018年6月29日 10:55 PM / 返信

[…] 近くに伊東豊雄氏の「下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館」や内井昭蔵氏のサンリツ服部美術館、古谷誠章氏の茅野市民館/茅野市美術館などもあり、ちょっとした建築巡りができます。 […]

建築図鑑48 ウラオモテのある建築「多摩美術大学図書館」 – 博司のナンコレ美術体験2018年7月22日 8:57 AM / 返信

[…] 設計は伊東豊雄氏です。下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館でも紹介しました。 […]

建築図鑑67★アイデアはいいが・・・「ぐりんぐりん」 – 博司のナンコレ美術体験2018年12月25日 10:42 PM / 返信

[…] こどもが遊びまわれる施設という意味では大成功。しかし入場料を取る植物園が機能しているのかは疑問でした。建ってから13年しか経ってないのに、下諏訪町立諏訪湖博物館と同様早くも閑古鳥で、施設も老朽化してます。 […]

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