今回は石川県能登島ガラス美術館に注目してみたいと思います。
設計は毛綱毅曠氏。
主要作の反住器は箱の中に箱、そのまた中に箱というマトリョーシカ構造になった変わった住居です。またそのドローイングも一風変わっています。60歳で亡くなっていますが、もし在命なら増々ヘンテコな建物を量産してくれてたのでは?と思います。
(建築リフルより)全景
(新建築より)平面図
外観としてはいろんな形の建物が脈絡なくゴロゴロ建っているように見えます。毛綱氏によるとこれは風水に基づいて位置を決めており、「展示室A・斜塔を玄武、展示室B・C・水盤を朱雀、カフェテリアを白虎、オブジェを青龍」に見立てているとのこと。
(美術館パンフレットより)
現在は9つのオブジェがあったところに展示室Dが増設されています。
奇をてらっているとも思えますが、古代の建築家、都市計画者の方法に乗っ取って設計を行ったとも読めます。氏は偉大だった古代のシャーマン的建築家になりたかったのかもしれません。
美術館までのアプローチには建物と呼応するように奇妙なガラス彫刻が十数個も置かれています。
美術館から流れる川の中にもガラスが散りばめられています。
あらゆる形状が氾濫しています。毛綱氏なら本当に都市計画を委ねても全部違う形状をデザインできそうです。外壁は鉛製で夕日に反射します。
赤い屋根の建物は増設された展示室Dです。
一番目立つカフェテリアは僕が行ったときは閉鎖中でした(土産自体は下の店で買えます)
外から見る限り、ここも中が凄そうなので残念です。
それではエントランスより中を見ていきたいと思います。
笛をイメージした展示室Aは先細りの形状になっています。照明計画も独特で、展示品を見るというより白い部屋と展示品を一体として体験するイメージです。
丸窓にはサンドブラストでこの建物の設計図が刻まれています。このようにいたるところにガラスとその加工技術が使われています。
ブリッジを渡って次の展示室へ
弧を描いた展示室B.Cは翼をイメージしたといい、展示室の中ではこれでも一番普通です。ダリの作品とかもあります。
入り口部分の手すりもガラスを使っています。
展示ケースも毛綱氏のデザインです。
休憩室の窓は液晶ガラスになっていて、人感センサーで透明、不透明が切り替わります。
カフェテリアの内観はこんな感じだったようです。
一本だけ残ったオブジェです。撮影できませんが、写真奥の展示室Dも毛綱氏得意のらせん階段など見どころが満載です。
トイレの水盆もガラス製です。
一見好き勝手やっているようですが、実際には随所にガラスを用いてクライアントの要望にこたえつつ、それでいて自由な設計も行っています。立地条件も設計方針も極北で日本のポストモダン建築が行くとこまで行っちゃった極端な例として一見の価値ありです。ナンコレ度★★★
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