東京大学総合研究博物館小石川分館の「チャンディガールのル・コルビュジエ」【2018年11月15日(木)−2019年2月11日(月祝)】を見てきました。
地下鉄茗荷谷駅から徒歩5分程度の距離にある博物館です。国立近現代建築資料館なんかもそうですが、建築の資料館は内容の割には知名度がなく、非常に地味です。この日もガラガラでした。
建物は東京大学の建築群の中でも最古のもの。木造建築を補強しつつも保存、活用しているようです。
企画展は2階ですが、まず1階から。こちらの作品はさまざまな建築を35個、下から古い順に合体させたものだそうです。
磯崎新氏の新宿計画にしか見えませんが、東大寺南大門だそうです。
桂離宮とジョンソン・ワックス社(フランク・ロイド・ライト)の上にサヴォワ邸(ル・コルビジェ)とファンズワース邸(フィリップ・ジョンソン)が載っています。
一番上に載っているのはスカイハウス(菊竹清訓)です。
上にポコポコ日本人建築家の個人宅が載っているのは、制作者の趣味としか思えません。
ガララテーゼの集合住宅(アルド・ロッシ)の上に載っているのは丸の内の高層ビル群にしか見えませんが、森山邸(西沢立衛)だそうです。
次の部屋には世界中の現代建築の模型が大量に展示されていました。
研究用に作られたものなので建築倉庫ミュージアムに飾られているものと比べるとクオリティは落ちますが、イメージをつかむには十分です。
改めて見て斬新に感じるのがふじようちえん。子どもたちのレクリエーションが各所で行われているのが分かります。
思ったよりかなり広い施設です。
同じく原邸。この形態をとるのにかなり体積を犠牲にしているのがよく分かります。
内面に比べて外側は寂しい。外も京都駅みたいにすればいいのに。
大分県立大分図書館(現大分アートプラザ)は実際に訪問もしたのですが、模型で改めて見ると、巨大化した梁がそのまま建物を貫いていたり、部屋が吊り下げられていたり、面白い発見があります。
ガウディ設計のアパートです。
グニャグニャした外観と頭頂部のナゾのオブジェに加えて、天井から建物内をくり抜いて光を入れる工夫がされているのがよく分かります。
よく写真を見るけど、こんな形状をしているとは知らなかったです。
こっちのほうがカーンの代表作に感じます。
他の模型に比べて圧倒的に平べったい外観です。
細い屋根の材木は透明プラ板で表現されています。
地下からアクセスするので、入口すらないシンプルな外観。
調光のためのダブルスキンを同じく透明プラ板で表現しています。
傾斜地に建っている建物なのですが、それ抜きにしても面白い建物です。
建物全体を一部屋にしているタービンルームの大胆な設計がよく分かります。
表もガラスブロックを付け足す以外には操作はほとんどしていません。
上から橋でアクセスするのが面白いですが、内観もアスレチック風です。
海外の住宅はその複雑さに驚くものが多かったです。グレイヴスは「ハイアットリージェンシー福岡」など日本にも作品が色々ありますが、こういったものはないですね。大げささは共通していますが・・・
こちらも非常に複雑。
手すりの造形がかっこいいです。
実物も真っ白なので模型もそのイメージに近いです。
常設より仮設の建物の方が面白いです。
大階段が建物を貫くさまは東京デザインセンターを思い出します。
なんじゃこりゃ!と驚く外観ですが、この枠はただの窓枠で機能はないようです。
この時点でもうかなりお腹いっぱいですが、さらに2階にはコルビジェのインド建築群がありました。
こちらはユニテ・ダビタシオンを巨大化したような造形です。
屋上の造形もコルビジェらしいです。
巨大な建物が単調にならないように工夫が凝らされています。
飛び出した部屋や階段はコルビジェの造形博物館のようです。
やはり屋上の造形は共通したものを感じます。
跳ね上がった大屋根は前川國男の東京文化会館への影響を感じます。
大屋根の下の小さな複数の建築が入っているのが面白いです。
このようにどんどん新しい造形を生み出すのがコルビジェのコルビジェたるゆえんです。
建築に詳しくない人もその面白さに目覚めるような展示でした。★★★