• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

インテリアデザイナー化する建築家「くまのもの 隈研吾とささやく物質」

東京ステーションギャラリーの「くまのもの 隈研吾とささやく物質」【2018 年3月3日(土)- 5月6日(日)】を見てきました。

隈研吾「新国立競技場」

隈研吾さんは新国立競技場の設計者に選ばれたことで、名実ともに国内建築家のトップに躍り出た人物。

隈研吾「浅草文化観光センター」

他に有名な建築として浅草の「浅草文化観光センター」などがあります。

今回の展覧会で特異な点は過去の作品が素材別に並べられているということです。隈さんは若いころほとんどプラスチックのみで家を作ったりしているし、最近でも木の建築家とのイメージに反して石や樹脂など様々な素材で作品を作っています。

隈研吾「木橋ミュージアム」

「木」の木橋ミュージアムや・・・

隈研吾「ヴィクトリア&アルバート・ミュージアム ダンディ」

「石」のヴィクトリア&アルバート・ミュージアム ダンディなどはいいとして・・・

隈研吾「マルセイユ現代美術センター」

「竹」「土」「紙」「膜」など通常建築材としてあまり使われないものも多く登場したのが面白かったです。

隈研吾「てっちゃん」

特に面白かったのがLANケーブルを加工した作品。隈さんの興味も時代の変化に合わせて進化していっているようです。

隈研吾「虫塚」

ただ気になったのは特に近年の作品はそれらの素材が外装や内装のみ、またはごく小規模の施設のみに使われ、構造は普通の鉄筋コンクリートというケースが目立ったことです。

隈研吾「渋谷駅街区開発計画」

インテリア、エクステリアがうまい建築家はいくらでもいますが、隈さんも若いころの過激さが無くなり、そういった建築家の一人になってしまったのかと思うと寂しい思いがします。

隈研吾「LVMH大阪」

それに伴い展覧会は素材の展示が主で、模型は添え物に感じました。玄人的には大満足かもしれませんが、エンタメ的には2017年の安藤忠雄展とは比べるべくもありません。

隈研吾「品川新駅」

国立競技場はともかく、普段我々が使う施設としては「品川新駅」が2020年に完成予定です。この辺りが隈さんが「建築家」なのか「インテリアデザイナー」なのかの分水嶺になりそうです。


くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質

会期:2018 年3月3日(土)- 5月6日(日)

【休館日】
4月30日をのぞく月曜日
【開館時間】
10:00 - 18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
【入館料】
一般(当日)1,100円 高校・大学生(当日)900円
一般(前売)900円 高校・大学生(前売)700円

 

コメント一覧

★★歴史を作る建築「田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future ─ Digging & Building」 – 博司のナンコレ美術体験2018年11月6日 10:46 AM / 返信

[…] 若いだけに安藤忠雄や隈研吾のような大御所とはひと味もふた味も違う展覧会になっています。注目点をまとめてみました。 […]

建築図鑑109★★石の実験場「ストーンプラザ」 – 博司のナンコレ美術体験2019年4月11日 5:28 PM / 返信

[…] 設計者は隈研吾氏。彼が90年から2000年代初頭にかけて作った一連の地方建築の一つです。 […]


建築図鑑110★弱い素材を生かす「那須歴史探訪館」 – 博司のナンコレ美術体験2019年4月11日 6:02 PM / 返信

[…] 設計者は隈研吾氏。近くのストーンプラザも彼の設計。同じく隈氏設計の県内の宝積寺駅、馬頭広重美術館は一日で回れます。 […]

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