栃木県の那珂川町馬頭広重美術館に行ってきました。
設計者は隈研吾氏。
隈氏は自伝でいうところの「都落ち」により、40代のころ四国や東北など地方で多く建築を作っていました。中でも栃木は最も多く作品があり、宇都宮市の北あたりに集中しています。
中でも広重美術館はもっとも有名です。
立地は市街地と山の間に立っており、散策路の休憩所としての機能も期待されていました。
最大の特徴は地元産の八溝杉を使った屋根とルーバーです。
法律上そのまま木を屋根に使うことはできないので、厳重に防火処理がされています。
しかし風化して建物が変化することを意図しているため、特に雨風が当たる外部は結構汚れ
ています。
内外の屋根からは天候の変化によって刻一刻と光が変化していく様子が見て取れます。
隈氏のいう「写真では伝わらない実際に体験しないと分からない建築」が実現しています。
向かって左側は陶器などを扱うショップとカフェになっています。
山を見ながらそば、カレー、団子などが食べられます。
エントランス。内部はルーバーがきれいに保たれており、外とはまた違った風合いです。
展示室内もルーバーを用いた空間が続いています。また障子のような間仕切りなどから隈氏の素材に関する興味が伺えます。
窓の上から採光を調節するブラインドのようなものが窓の上からぶら下がってました。
なんとなく浮世絵の雨の表現みたい?
休憩の椅子までルーバー。しかもキャスター付き。このスタッフに対する気遣いが隈さんが選ばれる理由?
ちなみに床のタイルも地元の芦野石です。こちらはストーンプラザのほうで多用してますね。
この辺りの質素は広重が生きた時代を連想するかも?
周りは特に何もないのですが、それがかえって浮世絵の世界を彷彿させます。
ちなみにかなり長い建物ですが、総一階建てで職員スペースや収蔵庫も含まれているので、展示スペースは結構狭く、中程度の展示室が2部屋程度です。
来ないと分からないを地でいく優れた建築だと思います。来るまで廻れば他の隈建築も一日で回れるしおすすめです。★★
2022年10月再訪。その作品の後、隈氏の作品は数えきれないぐらいありますが、このシンプルさはやはり原点の一つだと思います。
建築図鑑109★★石の実験場「ストーンプラザ」 – 博司のナンコレ美術体験2019年4月11日 6:02 PM /
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