• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

建築図鑑108★★何もないけどそれがいい「那珂川町馬頭広重美術館」

栃木県の那珂川町馬頭広重美術館に行ってきました。

設計者は隈研吾氏。

隈氏は自伝でいうところの「都落ち」により、40代のころ四国や東北など地方で多く建築を作っていました。中でも栃木は最も多く作品があり、宇都宮市の北あたりに集中しています。

宝積寺駅、ストーンプラザ那須歴史探訪館は一日で回れます。

中でも広重美術館はもっとも有名です。

立地は市街地と山の間に立っており、散策路の休憩所としての機能も期待されていました。

最大の特徴は地元産の八溝杉を使った屋根とルーバーです。

法律上そのまま木を屋根に使うことはできないので、厳重に防火処理がされています。

しかし風化して建物が変化することを意図しているため、特に雨風が当たる外部は結構汚れ

ています。

内外の屋根からは天候の変化によって刻一刻と光が変化していく様子が見て取れます。

隈氏のいう「写真では伝わらない実際に体験しないと分からない建築」が実現しています。

向かって左側は陶器などを扱うショップとカフェになっています。

山を見ながらそば、カレー、団子などが食べられます。

エントランス。内部はルーバーがきれいに保たれており、外とはまた違った風合いです。

展示室内もルーバーを用いた空間が続いています。また障子のような間仕切りなどから隈氏の素材に関する興味が伺えます。

窓の上から採光を調節するブラインドのようなものが窓の上からぶら下がってました。

なんとなく浮世絵の雨の表現みたい?

休憩の椅子までルーバー。しかもキャスター付き。このスタッフに対する気遣いが隈さんが選ばれる理由?

ちなみに床のタイルも地元の芦野石です。こちらはストーンプラザのほうで多用してますね。

この辺りの質素は広重が生きた時代を連想するかも?

周りは特に何もないのですが、それがかえって浮世絵の世界を彷彿させます。

ちなみにかなり長い建物ですが、総一階建てで職員スペースや収蔵庫も含まれているので、展示スペースは結構狭く、中程度の展示室が2部屋程度です。

来ないと分からないを地でいく優れた建築だと思います。来るまで廻れば他の隈建築も一日で回れるしおすすめです。★★

2022年10月再訪。その作品の後、隈氏の作品は数えきれないぐらいありますが、このシンプルさはやはり原点の一つだと思います。

コメント一覧

建築図鑑109★★石の実験場「ストーンプラザ」 – 博司のナンコレ美術体験2019年4月11日 6:02 PM / 返信

[…] 宝積寺駅、馬頭広重美術館、那須歴史探訪館は一日で回れます。 […]

建築図鑑153 ★玉川高島屋 – 博司のナンコレ美術体験2020年12月14日 6:00 AM / 返信

[…] 外観だけなので、隈さんが関わった部分は少ないかも知れませんが、代表作である広重美術館同様、時間軸を作品に取り込んでいるところが「らしい」仕事になっていました。★ var quads_screen_width = document.body.clientWidth; if ( quads_screen_width >= 1140 ) {document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); }if ( quads_screen_width >= 1024 && quads_screen_width < 1140 ) {document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); }if ( quads_screen_width >= 768 && quads_screen_width < 1024 ) {document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); }if ( quads_screen_width < 768 ) {document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); } […]

建築図鑑185田園調布せせらぎ館 – 博司のナンコレ美術体験2021年4月11日 12:34 AM / 返信

[…] また横に長い建物は隈氏の初期の傑作、那珂川町馬頭広重美術館を彷彿させます。 […]

建築図鑑192明治神宮ミュージアム – 博司のナンコレ美術体験2021年5月16日 3:41 PM / 返信

[…] タイプとしては田園調布せせらぎ館と同じく広重美術館と同じ平屋和風な建物ですが、収蔵庫としては良くても人を呼ぶ仕掛けはイマイチな印象でした。 var quads_screen_width = document.body.clientWidth; if ( quads_screen_width >= 1140 ) {document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); }if ( quads_screen_width >= 1024 && quads_screen_width < 1140 ) {document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); }if ( quads_screen_width >= 768 && quads_screen_width < 1024 ) {document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); }if ( quads_screen_width < 768 ) {document.write(''); (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); } […]

建築図鑑221ホテルロイヤルクラシック大阪 – 博司のナンコレ美術体験2021年10月10日 4:53 PM / 返信

[…] 大阪の難波駅のすぐわきに建つこのホテルは村野藤吾氏の取り壊された大阪新歌舞伎座を隈研吾氏が忠実に再現したものです。 […]

建築図鑑110★弱い素材を生かす「那須歴史探訪館」 – 博司のナンコレ美術体験2023年1月3日 9:09 PM / 返信

[…] 設計者は隈研吾氏。近くのストーンプラザも彼の設計。同じく隈氏設計の県内の宝積寺駅、馬頭広重美術館は一日で回れます。 […]

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