2019年4月18日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★解消されなかった問題点「百年の編み手たち-流動する日本の近現代美術-」

 

約3年間もの休館を経てリニューアルオープンした東京都現代美術館。

どこが変わったかというと・・・

 

①サインが変化

ロゴの横に「+」が付きました。

 

②案内板が変化

サインやベンチが木の素材感を生かしたものに変わりました。

 

③ショップ、レストランが変化

おそらくここが一番変化を実感できるポイントです。

企画展示室と常設展示室の間にあるショップ、レストラン、図書室の内装が変わりました。

 

・・・といったように民間なら1週間もかからないような改装ばかり。

もちろん耐震補強など目に見えないところの変化が大きいのでしょうが、3年間の球館に対して納得感はありません。

そもそも柳澤孝彦氏設計の本館は建築界からは無視され、その他からは江戸東京博物館東京国際フォーラム、東京ビックサイトと合わせて4大ムダ建築などと言われてきました。

今回改めて見ても使われていない空間があまりにも広大過ぎ、どんな現代美術でも展示できる空間を全く生かせていないと感じました。

3年間の休館といい運営側は他のムダ建築と比べても無気力さが際立ちます。

 

今回は企画展示室4フロア全てを使った展示で、しかも日本の現代美術縛りなので、かなり濃い内容の作品が多かったです。
残念なのは内容が東京国立近代美術館とモロ被りで全く独自性、というか現代性を感じないことです。
とはいえここまで巨大展覧会なので、色々見どころはありました。例によってランキングで見てみたいと思います。

5位.松江泰治「tyo6212」

広島市現代美術館で個展を行うなど、近年急速に伸びてきた松江氏。ワイド写真の作品で、影のない均質な画面構成が特徴です。

近隣の江東区の川岸のマンションや、東京都現代美術館を含む清澄公園の空撮写真作品などが展示されていました。

松江氏の均質な写真は巨大なマンモスマンションとよくマッチします。

またランドマークのないどこまでも続く住宅地というアンチクライマックスな風景は、地元の人以外はどこの写真か分からないかも。

同時に展示されていたホンマタカシ氏のニュータウンの写真に代わる、現代のイコンになりそうです。

 

4位.風間サチコ「噫!怒涛の閉塞艦」

こちらも丸木原爆の図美術館で個展をやるなど、急速に伸びてきた作家さんです。

横浜トリエンナーレで初めて見ましたが、衝撃でした。

軍隊や管理社会を揶揄する作風が特徴です。

閉塞艦とは日露戦争などで用いられた軍港の出口に船を沈めて敵船を出られなくする作戦、およびそれに用いられる自沈船のことです。

四角いモダニズム風の工場建築が並んでいることから、風間氏は閉塞艦と閉塞感をかけたのだと思われます。

閉塞感を感じるかどうかはともかく、逃げ場がない感じはよく出ています。

 

3位.毛利悠子「I/O」

毛利氏は森美術館で初めて見たときはいけ好かなかったのですが、徐々にこの謎めいた作品が好きになってきました。

こちらも藤沢アートスペース十和田市現代美術館などで個展を行っています。

ロール紙、ハタキ、LEDランプなどからなる作品。

ハタキが地面をのたうち、時折コンテンポラリーな音楽が聞こえるという独特な空間構成です。

 

 

2位.桂ゆき「馬」

展覧会自体が非常に巨大なせいか、多数の作品を出品している作家さんも多く、ちょっとした個展の集合みたいになっています。

戦前戦後通して活躍された桂氏もその一人。

女性らしい可愛らしいコラージュの中にも社会に対する鋭いメッセージが込められています。

本作も馬部分を日本の新聞、騎手部分を英字新聞(しかも日本の新聞より白い)で表現されています。

 

1位.多田美波「phase space6941」

こちらも多数の出品作が合った作家さんです。

アルミニウムの作品が特徴ですが、本展ではモーターで稼働する作品も展示。

モーターで皿状の鏡面を傾かせることで、部屋全体が映り込みます。

 

玄人向けの展覧会だったのかもしれませんが、やや間延びしたような印象になってしまったのは残念です。★

コメントを残す